Dance with Kebin!!
「けビンと踊ろう。」にようこそ。
このブログは、管理者の思いつきでブログタイトルがコロコロ変わる、
ショートストーリーを主としたアホブログです。
ストーリーの出来や文章力は別として、私のお気に入りからお読みいただくと嬉しいです。
このブログは、リンク・コメント・トラックバックは歓迎します。
※コメ,トラバは、このブログに無関係と判断された場合は削除させて頂きます。
あらかじめご了承下さい。
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| タイトル | ジャンル | 個人的な気に入り度 | つまらない話 | まじめに書いた | ★★★ | 戦隊モノ | ふざけて書いた | ★★★ | 新入りをよろしく | まじめに書いた | ★★☆ | 空き地 | まじめに書いた | ★★☆ | 契約にご用心 | まじめに書いた | ★★☆ | ぱてしえ | まじめに書いた | ★★★ |
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百と一匹のお犬様の連続誘拐事件について(前編)
今は昔、東京が大江戸と呼ばれた時代。下総の国に、南蛮渡来の城を中心とした城下町があった。
今でこそ、英語で名前が付いているが、当時は当て字で『出豆尼』なんて名前が付いていたのだが、そこは時の将軍・綱吉公も大目に見ていたそうだ。ただ町民が遊ぶための城下町であったし、どうひっくり返っても討幕運動なんて起きる気配もなかったのだから。
さて、そんな将軍様も見て見ぬふりをしていた城下町『出豆尼』に、綱吉公もさすがに無視できない事件が起きた。
聡明な読者諸兄ならもちろんご存知だとは思われるが、綱吉公は、かの有名な『生類憐れみの令』を唱えた将軍であり、大の犬好きである。
この『生類憐れみの令』は、犬に限らず無駄な殺生を慎めという精神論だったのだが、違反者が減らないために犬を登録制にしたのである。その犬を虐待した者を発見し、密告した者に報奨金を取らせた。今でこそ綱吉公のことを『犬将軍』と呼ばれているが、それはこの悪政が理由ではないことをご存じだろうか。
さて、話が逸れた。ここで一旦『出豆尼』に戻そう。
ここ、出豆尼でも犬は登録されている。代表されるのは、大型犬の具布衣と古渡だが、そのほかに白黒の斑模様の犬が百と一匹、登録されていた。
その城下町に、黒江と名乗る武士が遊びにやってきた。この黒江、城下町に放し飼いにされた百と一匹の犬の斑模様に魅了され、大胆なことを思いつく。
この犬の毛皮を使って羽織を作り、冬を過ごせる半纏でも作れば一儲けできる。
そう考えた黒江は、腹心の部下を使ってうまく百と一匹の斑模様の犬を盗んでしまう。もちろん、具布衣と古渡には全く関心を持たなかった。
つづく……かもしれない(笑)
今でこそ、英語で名前が付いているが、当時は当て字で『出豆尼』なんて名前が付いていたのだが、そこは時の将軍・綱吉公も大目に見ていたそうだ。ただ町民が遊ぶための城下町であったし、どうひっくり返っても討幕運動なんて起きる気配もなかったのだから。
さて、そんな将軍様も見て見ぬふりをしていた城下町『出豆尼』に、綱吉公もさすがに無視できない事件が起きた。
聡明な読者諸兄ならもちろんご存知だとは思われるが、綱吉公は、かの有名な『生類憐れみの令』を唱えた将軍であり、大の犬好きである。
この『生類憐れみの令』は、犬に限らず無駄な殺生を慎めという精神論だったのだが、違反者が減らないために犬を登録制にしたのである。その犬を虐待した者を発見し、密告した者に報奨金を取らせた。今でこそ綱吉公のことを『犬将軍』と呼ばれているが、それはこの悪政が理由ではないことをご存じだろうか。
さて、話が逸れた。ここで一旦『出豆尼』に戻そう。
ここ、出豆尼でも犬は登録されている。代表されるのは、大型犬の具布衣と古渡だが、そのほかに白黒の斑模様の犬が百と一匹、登録されていた。
その城下町に、黒江と名乗る武士が遊びにやってきた。この黒江、城下町に放し飼いにされた百と一匹の犬の斑模様に魅了され、大胆なことを思いつく。
この犬の毛皮を使って羽織を作り、冬を過ごせる半纏でも作れば一儲けできる。
そう考えた黒江は、腹心の部下を使ってうまく百と一匹の斑模様の犬を盗んでしまう。もちろん、具布衣と古渡には全く関心を持たなかった。
つづく……かもしれない(笑)
月夜の晩に
月明かりは、まっすぐにその女性だけを照らしているかのようだった。車も人もあまり通らない橋の上で、僕は偶然彼女を見つけてしまった。というより、それほど目立つ彼女だった。
別に服装が派手なのではない。彼女の存在自体が目立つのだ。
見とれていた僕は、声をかけようと近づく。彼女はその気配に気がついたようにゆっくりと振り返る。
後姿だけでも美しいのに、彼女の寂しげな顔は、月の魔法で神秘的な美しさを湛えている。
僕は、何て声をかけてあげたらいいのだろう。彼女の心をつかみたい自分と、彼女の不安を取り除いてあげたい自分が、僕の頭の中で言葉を探している。
「……なんでしょうか?」
先に話たのは、彼女のほうだった。
「あ。怪しい者ではありません。ただのナンパです」
何を言い出すんだ、僕は。いつの時代の口説き文句だ。
「いや、たとえば貴女に何かお困りのことがあって、僕が力になってあげられるのであれば……」
「私……」
「……はい。なんでしょう?」
彼女は声まで美しい。苦し紛れに出たセリフだったが、本気でこの女性の力になってあげたいと思った。
「私、この橋から飛び降りようとしていたんです。邪魔をしないでください」
なんてことだ。この橋の大きさといったら、まず命は保障されない高さにある。
「邪魔はしません。貴女の力になりたいだけですから、飛び降りるお手伝いをします」
彼女は、僕の言葉に驚いた。それはそうだ。
でも、僕は直感でそう口走ってしまった。もう、後には引けない。
「たとえば貴女が死んでしまったとして、自殺よりも誰かに命を奪われたとあれば、遺された家族も恨む相手ができるでしょう。僕が殺人犯になってあげます」
彼女はどうしていいかわからないでいた。しかし。
「では、私をここから突き落としてください。手すりに私も指紋を残します。貴方も手すりに指紋を残して下さい」
「いやです。殺人犯として、証拠はできるだけ残したくありません。ただ、貴女をここから突き飛ばします。それとも、投げ飛ばしたほうがいいですか?」
また、彼女は黙ってしまった。鼻で少しため息をついた後、彼女はあきれた声で言った。
「では、証拠はいいです。突き落とすなり投げ飛ばすなり、好きにしてください」
「待って下さい」
「今さら、私を殺すのが怖くなったのですか? 早くして下さい」
「違います。貴女を橋の下に落とすのは簡単ですが、何かが足りません」
「何が足りないっていうの? 私は早く死にたいの!」
彼女は苛立っていた。だから、逆に僕は冷静になれたのかもしれない。
「僕に見返りがない」
「は!?」
「貴女は死を望んで、私が手を下せば貴女は望み通りになる。でも、僕にはその報酬がないという話だ」
「……バカみたい。なに?抱かせろとかでも言うの?」
「いえ。違います」
「じゃあ、何よ!?」
「私への報酬は、『貴女が死を決断した経緯』です。別に貴女を抱こうとか考えていません」
これは本当ではなかった。どうせ死ぬなら性行為くらい。というやましい気持ちはあった。
彼女は少し考えた後、観念したのか僕のペースに合わせることにしたようだ。
「……フラれたのよ」
「彼氏にですか?」
「……うん。そう。彼にフラれたの」
こんな美人をもったいない。僕なら一生を共にしたいくらいだ。
「フラれた理由は?」
「……」
「貴女の気持ちを、彼氏が重く感じたとか?」
「それもあるけど、一番の理由はそれじゃないわ」
「? ……彼が浮気をしていたとか?」
「それも当たっているけど、もっと根本的なことなの」
「??? ……」
話がますますわからない。
「では、何が原因だというのですか!?」
「……浮気相手が、普通の女の子だったからよ!」
本当に話が解らなくなってきた。
「意味わかんないって顔してるわね。説明してあげよっか?」
面倒臭そうに、彼女は話し始めた。
「彼氏は、普通の女の子を選んだのよ。私じゃなく……普通の……」
僕は、まさかと思った。しかし、彼女の話は、僕の予想通りに進んでいった。
「『もう、終わりにしよう。やっぱり、俺はお前を愛し続けてはいけない』って」
「その『愛し続けられない』理由って、貴女が……」
「そう。私が男だからよ。」
大きく深呼吸した彼女は、とても美しく見える女性だった。僕は、今でも目の前の人間を女性と信じて疑わない。
「貴方への報酬は済んだわ。さ、どうする? 私を突き落とすの? 投げ飛ばすの?」
僕は男性に恋心を抱いたことに、とても強いショックを受けた。
僕は、彼女より先に橋から飛び降りたくなった。
(※フィクションです。後半の部分、一部の方への配慮が足りなくて変更しました)
別に服装が派手なのではない。彼女の存在自体が目立つのだ。
見とれていた僕は、声をかけようと近づく。彼女はその気配に気がついたようにゆっくりと振り返る。
後姿だけでも美しいのに、彼女の寂しげな顔は、月の魔法で神秘的な美しさを湛えている。
僕は、何て声をかけてあげたらいいのだろう。彼女の心をつかみたい自分と、彼女の不安を取り除いてあげたい自分が、僕の頭の中で言葉を探している。
「……なんでしょうか?」
先に話たのは、彼女のほうだった。
「あ。怪しい者ではありません。ただのナンパです」
何を言い出すんだ、僕は。いつの時代の口説き文句だ。
「いや、たとえば貴女に何かお困りのことがあって、僕が力になってあげられるのであれば……」
「私……」
「……はい。なんでしょう?」
彼女は声まで美しい。苦し紛れに出たセリフだったが、本気でこの女性の力になってあげたいと思った。
「私、この橋から飛び降りようとしていたんです。邪魔をしないでください」
なんてことだ。この橋の大きさといったら、まず命は保障されない高さにある。
「邪魔はしません。貴女の力になりたいだけですから、飛び降りるお手伝いをします」
彼女は、僕の言葉に驚いた。それはそうだ。
でも、僕は直感でそう口走ってしまった。もう、後には引けない。
「たとえば貴女が死んでしまったとして、自殺よりも誰かに命を奪われたとあれば、遺された家族も恨む相手ができるでしょう。僕が殺人犯になってあげます」
彼女はどうしていいかわからないでいた。しかし。
「では、私をここから突き落としてください。手すりに私も指紋を残します。貴方も手すりに指紋を残して下さい」
「いやです。殺人犯として、証拠はできるだけ残したくありません。ただ、貴女をここから突き飛ばします。それとも、投げ飛ばしたほうがいいですか?」
また、彼女は黙ってしまった。鼻で少しため息をついた後、彼女はあきれた声で言った。
「では、証拠はいいです。突き落とすなり投げ飛ばすなり、好きにしてください」
「待って下さい」
「今さら、私を殺すのが怖くなったのですか? 早くして下さい」
「違います。貴女を橋の下に落とすのは簡単ですが、何かが足りません」
「何が足りないっていうの? 私は早く死にたいの!」
彼女は苛立っていた。だから、逆に僕は冷静になれたのかもしれない。
「僕に見返りがない」
「は!?」
「貴女は死を望んで、私が手を下せば貴女は望み通りになる。でも、僕にはその報酬がないという話だ」
「……バカみたい。なに?抱かせろとかでも言うの?」
「いえ。違います」
「じゃあ、何よ!?」
「私への報酬は、『貴女が死を決断した経緯』です。別に貴女を抱こうとか考えていません」
これは本当ではなかった。どうせ死ぬなら性行為くらい。というやましい気持ちはあった。
彼女は少し考えた後、観念したのか僕のペースに合わせることにしたようだ。
「……フラれたのよ」
「彼氏にですか?」
「……うん。そう。彼にフラれたの」
こんな美人をもったいない。僕なら一生を共にしたいくらいだ。
「フラれた理由は?」
「……」
「貴女の気持ちを、彼氏が重く感じたとか?」
「それもあるけど、一番の理由はそれじゃないわ」
「? ……彼が浮気をしていたとか?」
「それも当たっているけど、もっと根本的なことなの」
「??? ……」
話がますますわからない。
「では、何が原因だというのですか!?」
「……浮気相手が、普通の女の子だったからよ!」
本当に話が解らなくなってきた。
「意味わかんないって顔してるわね。説明してあげよっか?」
面倒臭そうに、彼女は話し始めた。
「彼氏は、普通の女の子を選んだのよ。私じゃなく……普通の……」
僕は、まさかと思った。しかし、彼女の話は、僕の予想通りに進んでいった。
「『もう、終わりにしよう。やっぱり、俺はお前を愛し続けてはいけない』って」
「その『愛し続けられない』理由って、貴女が……」
「そう。私が男だからよ。」
大きく深呼吸した彼女は、とても美しく見える女性だった。僕は、今でも目の前の人間を女性と信じて疑わない。
「貴方への報酬は済んだわ。さ、どうする? 私を突き落とすの? 投げ飛ばすの?」
僕は男性に恋心を抱いたことに、とても強いショックを受けた。
僕は、彼女より先に橋から飛び降りたくなった。
(※フィクションです。後半の部分、一部の方への配慮が足りなくて変更しました)
七夕伝説・別伝
「……勝彦?」
「……沙織さん、久しぶり」
一年ぶりに会った沙織さんは、また綺麗になっていた。
誰も本当の年齢なんて信じてくれないくらい、若々しかった。
「勝彦、少しオッサンになったね」
笑いながら言う沙織さんには、久しぶりに会った僕に対する照れもあったのかもしれない。
「沙織さんだって……くやしいなあ。オバサンになっていないじゃん」
「え? 本当!?」
「うん。なんか、去年会った時よりも綺麗になっている」
「お世辞じゃないよね?」
「ああ、じゃあお世辞ってことにしておこうかな」
「ふふ、そうね。本気で言われても困っちゃうし」
意地悪そうに笑う沙織さんは、本当に綺麗だった。
学生のころ、僕は平塚市にいた。横浜の大学に通うためだ。そのまま首都圏で就職し、神奈川に住むつもりだったが、兄のわがままが俺の人生を変えた。
俺は地元に戻り、親父の店を継いだのだ。もう、これは神様が決めたこと。と自分に言い聞かせるしかなかった。本当は沙織さんとずっといたかったのだが……
「どう? 沙織さん、仕事は順調?」
「え? うん、まあね。旦那が仕事を結構取ってくれるから……」
「……そか」
「それより、今日は一年に一回のデートだもん。明るい話題にしよ?」
「……うん、そうだね。仙台には負けるけど、ここの七夕もすごいもんね」
「勝彦、毎年それ言っているね。絶対仙台になんか負けていないもん」
ふくれる沙織さんは僕より年上なのに、どこか子供っぽかった。その横顔を見たとき、まだ僕は沙織さんのことを想っていることを思い知らされた。
七夕祭りを見学した後、僕はこの運命を呪った。
僕、星野勝彦は沙織さんを愛していた。ここで幸せになりたかった。しかし、兄が家業を継がなかったために、僕は仙台に戻って牛タンが名物の焼肉屋の主人になった。
沙織さんは洋裁の上手な女性だったが、その仕事を生かすために服飾関係の仕事に就き、そこで知り合った営業職の男性に猛アタックされて「姫川」という苗字を捨てた。
僕たちは、確かにあの時愛し合っていた。その時間は、もう戻らない。
毎年、僕らは自分のわがままを通すために平塚で会っている。だけど。
「……勝彦、言いにくいんだけど……」
「うん、言いたいことはわかるよ。僕はもういいんだ」
「私も、このまま毎年会いたいんだけどね」
「その先は言わないでくれよ。僕だって辛いけど、僕と沙織さんの為だもん」
「……うん、わかった。じゃ、最後だから……」
人目もはばからず、僕と沙織さんは、ながい長い口づけを交わした。
誰にでも、忘れられない若い恋愛ってあると思う。
まあ、僕と沙織さんほど七夕伝説によく似た恋愛は稀だろうけど、みんなの心には、それぞれの神話になっている恋の思い出ってあるだろうか。
今年の七月七日は、仙台から夜空を見上げた。織姫を探した。
平塚の彼女は、彦星を探しただろうか。
「……沙織さん、久しぶり」
一年ぶりに会った沙織さんは、また綺麗になっていた。
誰も本当の年齢なんて信じてくれないくらい、若々しかった。
「勝彦、少しオッサンになったね」
笑いながら言う沙織さんには、久しぶりに会った僕に対する照れもあったのかもしれない。
「沙織さんだって……くやしいなあ。オバサンになっていないじゃん」
「え? 本当!?」
「うん。なんか、去年会った時よりも綺麗になっている」
「お世辞じゃないよね?」
「ああ、じゃあお世辞ってことにしておこうかな」
「ふふ、そうね。本気で言われても困っちゃうし」
意地悪そうに笑う沙織さんは、本当に綺麗だった。
学生のころ、僕は平塚市にいた。横浜の大学に通うためだ。そのまま首都圏で就職し、神奈川に住むつもりだったが、兄のわがままが俺の人生を変えた。
俺は地元に戻り、親父の店を継いだのだ。もう、これは神様が決めたこと。と自分に言い聞かせるしかなかった。本当は沙織さんとずっといたかったのだが……
「どう? 沙織さん、仕事は順調?」
「え? うん、まあね。旦那が仕事を結構取ってくれるから……」
「……そか」
「それより、今日は一年に一回のデートだもん。明るい話題にしよ?」
「……うん、そうだね。仙台には負けるけど、ここの七夕もすごいもんね」
「勝彦、毎年それ言っているね。絶対仙台になんか負けていないもん」
ふくれる沙織さんは僕より年上なのに、どこか子供っぽかった。その横顔を見たとき、まだ僕は沙織さんのことを想っていることを思い知らされた。
七夕祭りを見学した後、僕はこの運命を呪った。
僕、星野勝彦は沙織さんを愛していた。ここで幸せになりたかった。しかし、兄が家業を継がなかったために、僕は仙台に戻って牛タンが名物の焼肉屋の主人になった。
沙織さんは洋裁の上手な女性だったが、その仕事を生かすために服飾関係の仕事に就き、そこで知り合った営業職の男性に猛アタックされて「姫川」という苗字を捨てた。
僕たちは、確かにあの時愛し合っていた。その時間は、もう戻らない。
毎年、僕らは自分のわがままを通すために平塚で会っている。だけど。
「……勝彦、言いにくいんだけど……」
「うん、言いたいことはわかるよ。僕はもういいんだ」
「私も、このまま毎年会いたいんだけどね」
「その先は言わないでくれよ。僕だって辛いけど、僕と沙織さんの為だもん」
「……うん、わかった。じゃ、最後だから……」
人目もはばからず、僕と沙織さんは、ながい長い口づけを交わした。
誰にでも、忘れられない若い恋愛ってあると思う。
まあ、僕と沙織さんほど七夕伝説によく似た恋愛は稀だろうけど、みんなの心には、それぞれの神話になっている恋の思い出ってあるだろうか。
今年の七月七日は、仙台から夜空を見上げた。織姫を探した。
平塚の彼女は、彦星を探しただろうか。




